HIV感染症と各種合併症:悪性腫瘍

HIV感染症と悪性腫瘍:文献紹介

監修:静岡がんセンター感染症内科 倉井 華子 先生

悪性腫瘍の頻度

 1  
 タイトル Cancer incidence in the multicenter aids cohort study before and during the HAART era: 1984 to 2007.
 著者 Seaberg EC, Wiley D, Martínez-Maza O, Chmiel JS, Kingsley L, Tang Y, Margolick JB, Jacobson LP; for the Multicenter AIDS Cohort Study (MACS).
 所属 Department of Epidemiology, Bloomberg School of Public Health, Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland.
 書誌事項 Cancer. 2010 Jul 29. [Epub ahead of print]
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20672354
 サマリー HIV感染者、非感染者における悪性腫瘍の発生率を比較
HIV感染者の情報は1984-2007年Multicenter AIDS Coort study
非感染者の情報は米国癌登録システムSEER(surveillance ,Epidemiology,and End Results program)から入手
悪性腫瘍全体の発生は933/77,320person-years
SEERのデータと比較すると、HIV陽性の男性はカポジ肉腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、肛門癌の発生が著しく多い。
カポジのStandardized incidence ration(SIR)=139.10
非ホジキンリンパ腫のSIR=36.80
ホジキンリンパ腫のSIR=7.30
肛門癌のSIR= 25.71

HAARTeraにおいても
カポジ肉腫のincidence rate ratio(IRR)=54.93
非ホジキンリンパ腫のIRR=11.18
肛門癌のIRR=18.50

Pre-HAARTとpost-HAARTを比べるとカポジ肉腫と非ホジキンリンパ腫の発生率はpost-HAARTで低下した。(IRR 0.13, 0.23)
肛門癌では増加した。(IRR=5.84)
ホジキンリンパ腫は変化なし(IRR=0.75)
 更新日 2010年11月
 2  
 タイトル Age at cancer diagnosis among persons with AIDS in the United States.
 著者 Shiels MS, Pfeiffer RM, Engels EA.
 所属 National Cancer Institute, National Institutes of Health, Rockville, Maryland 20892, USA.
 書誌事項 Ann Intern Med. 2010 Oct 5;153(7):452-60.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20921544
 サマリー 非AIDS関連悪性腫瘍について、診断年齢分布をHIV感染者、非HIV感染者で比較。
1966-2007年までに米国HIV/AIDS Cancer match studyに登録されたHIV感染者212,055人が対象。
年齢をみると非HIV感染者では65歳以上の割合が12.5%なのに比べ、HIV感染者では1.5%であった。
多くの悪性腫瘍で、HIV感染者は非感染者に比べ診断時の年齢が20歳若い。
ただし、人口年齢調節を行うと多くの腫瘍で差は出なかった。(大腸癌、前立腺癌、乳癌)
肺癌と肛門癌はHIV感染者のほうが若年で診断されている。(肺癌 50 VS 54 歳、肛門癌 42 VS 45歳)
ホジキンリンパ腫は非HIV感染者が若い。(42 VS 40歳)
今回の文献では喫煙などのリスク因子は考慮していない。
 更新日 2010年11月

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ホジキンリンパ腫

 1  
 タイトル Highly active antiretroviral therapy (HAART) improves survival in HIV-associated Hodgkin's disease: results of a multicenter study.
 著者 Hentrich M, Maretta L, Chow KU, Bogner JR, Schürmann D, Neuhoff P, Jäger H, Reichelt D, Vogel M, Ruhnke M, Oette M, Weiss R, Rockstroh J, Arasteh K, Mitrou P.
 所属 Department of Hematology/Oncology, Hospital Harlaching, Munich, Germany.
 書誌事項 Ann Oncol. 2006 Jun;17(6):914-9.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16565210
 サマリー 1984-2004年にHIV+ホジキン病と診断された患者66人
HAART前後の時代で生存率を比較
HAARTあり 34人、HAARTなし32人
Stage III 47(71%), Stage IV 38(58%)
66人(89.4%)が化学療法を行われていた
2年の全生存率(OS)はHAART群で 74%,非HAART群で30%
HAART群で見るとHAARTがうまくいっている群では88%のOSであった。
多変量解析でみると非HAART群は3年間死亡率が5.6倍
 更新日 2010年11月
 2  
 タイトル Results of treatment with doxorubicin, bleomycin, vinblastine and dacarbazine and highly active antiretroviral therapy in advanced stage, human immunodeficiency virus-related Hodgkin's lymphoma.
 著者 Xicoy B, Ribera JM, Miralles P, Berenguer J, Rubio R, Mahillo B, Valencia ME, Abella E, López-Guillermo A, Sureda A, Morgades M, Navarro JT, Esteban H; GESIDA Group; GELCAB Group.
 所属 Institut Català d' Oncologia-Hospital Universitari Germans Trias i Pujol, Badalona, Spain.
 書誌事項 Haematologica. 2007 Feb;92(2):191-8.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17296568
 サマリー ABVD (doxorubicin, bleomycin, vinblastine and dacarbazine)は非HIV感染者におけるホジキンリンパ腫の標準治療
ホジキンリンパ腫に対するHAARTとABVD併用治療の効果について検討
62人に対し、6-8コースのHAART併用ABVDを行った。
全生存率(OS)と無事象生存期間(EFS)について評価
診断時のCD4中央値は129/μl
組織型:結節性硬化型  Nodular Sclerosis 17(27%)
        混合細胞型  Mixed Cellularity 25(41%)
        リンパ球減少型 Lymphocyte Depletion 10(16%)
        非特異的 Non-specified 10(16%)
病期:III期 21(34%)
      IV期 41(66%)
82%が治療完遂

結果:6人死亡、54(87%)がCR.
      5年無事象生存期間71%、全生存率 76%
HAARTによる免疫回復がOS、EFSにプラス効果を示した
 更新日 2010年11月

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肺癌

 1  
 タイトル HIV-related lung cancer in the era of highly active antiretroviral therapy.
 著者 Bower M, Powles T, Nelson M, Shah P, Cox S, Mandelia S, Gazzard B.
 所属 Department of Oncology, Chelsea and Westminster Hospital, 369 Fulham Road, London SW10 9NH, UK.
 書誌事項 AIDS. 2003 Feb 14;17(3):371-5.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12556691
 サマリー HAARTが肺癌の罹患率とアウトカムを変えたか?
1986-2001年に診断されたHIV感染者のデータを用いた。
1996年以前をpre-HAARTとした。
8400人のうち、肺癌を発生したのは11人(pre-HAART 2, post-HAART 9)。

結果:
pre-HAART 0.8/105 patient-years, post-HAART 6.7/105 patient-years
年齢と性別を一致させたイングランド東部の一般人口では、肺癌の発生率は 0.75/105 patient-years

HIV感染者の肺癌はpost-HAARTの時代に増えている。
患者背景やアウトカムはpre-HAARTとpost-HAARTで変わらないが、HIVの診断から肺癌診断日の間隔はpost-HAARTで長い。
 更新日 2010年11月
 2  
 タイトル Does HIV adversely influence the outcome in advanced non-small-cell lung cancer in the era of HAART?
 著者 Powles T, Thirwell C, Newsom-Davis T, Nelson M, Shah P, Cox S, Gazzard B, Bower M.
 所属 Department of Oncology, Chelsea & Westminster Hospital, 369 Fulham Road, London SW10 9NH, UK.
 書誌事項 Br J Cancer. 2003 Aug 4;89(3):457-9.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12888811
 サマリー HIV陽性者の非小細胞肺癌は予後不良という報告がある。
HAART存在下でのHIV感染者と非感染者の非小細胞肺癌のアウトカムに差があるかを調べた。
HIV陽性者9名と、年齢・ステージ・組織型を一致させた非HIV感染者27名。
Stage IVがHIV陽性者66%,非感染者 70%
両群の特性は一致させたが、HIV陽性者の方がPerformance statusが低い。
HIV陽性者のCD4 中央値は160mm-3(136-890), VLは173copies/ml-1(<50-200,000)
両群ともその時の標準治療(mitomycin+vincristine+cisplatin または
gemcitabine+carboplatin)を施行
生存期間の中央値は両群とも4か月(HIV陽性者2-15か月、非感染者で1-24か月) 
1年生存率はHIV陽性者で 11%, 非陽性者22%
化学療法のサイクルは同じ。
Stable disease +partial responseの率は両群とも50%。
HIV陽性者のデータを見ていくと
化学療法を途中中止したのは6/9(2例はPDで中止、1例は副作用で中止)
化学療法を施行した50%がgrade 3 または4の血液毒性が出現、治療関連死亡はなし。
AID関連疾患を発症した患者はいなかった。
 更新日 2010年11月
 3  
 タイトル Effect of highly active antiretroviral therapy on survival of HIV infected patients with non-small-cell lung cancer.
 著者 Lavolé A, Chouaïd C, Baudrin L, Wislez M, Raguin G, Pialoux G, Girard PM, Milleron B, Cadranel J.
 所属 Service de Pneumologie et Réanimation, Hôpital Tenon, APHP and Faculté de Médecine Pierre et Marie Curie, Université Paris VI, Paris, France.
 書誌事項 Lung Cancer. 2009 Sep;65(3):345-50.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19135758
 サマリー HIV陽性非小細胞肺癌の生存率に影響を与える因子。HAARTが影響するか。
1996-2007年パリの大学病院でHIV+非小細胞肺癌と診断された49人。
経過中に42人が死亡(33人が腫瘍による死亡、非AIDS関連の感染症が4人、AIDSが1人、3人が化学療法関連)
生存率によい影響を与えた因子はHAART, PS≦1、病期 I-IIであった。
CD4数、VLは生存に影響しない。
 更新日 2010年11月
 4  
 タイトル Interactions between cytotoxic chemotherapy and antiretroviral treatment in human immunodeficiency virus-infected patients with lung cancer.
 著者 Makinson A, Pujol JL, Le Moing V, Peyriere H, Reynes J.
 所属 Infectious Diseases Department, Gui de Chauliac Hospital, University of Montpellier 1, CHRU Montpellier, France.
 書誌事項 AIDS. 2010 Jun 19;24(10):1537-48.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20195169
 サマリー ・抗HIV薬と肺癌に使用する抗腫瘍薬との相互作用
■プラチナ製剤
CYP450で代謝されないため、抗HIV薬との相互作用はない。Tenofovirと併用の際は腎毒性に注意が必要。

■タキサン
CYP3Aで代謝されるため、プロテアーゼ阻害剤で濃度が上昇する。Ritnavir併用によりDocetaxel の濃度が50倍になった報告もある。

■ビンカアルカロイド
多くは未変化のまま便に排泄されるが、一部はCYP3A4により4-Odesacetyl-vinerelbineに変わる。プロテアーゼ阻害剤によりCYP3A4は阻害され、ビンカアルカロイドの毒性が増す。強い骨髄抑制が起こることがある。

■エトポシド
主にCYP3A4により酸化されるが、CYP2E1と1A2の影響も受ける。NNRTIとPIと相互作用を持つが、どの程度の影響があるかよくわからない。肺癌のHIV患者に対するEtoposideの副作用データは乏しい。

■ゲムシタビン
ゲムシタビンは肝、腎、血液、その他の組織でシチジン脱アミノ化酵素により代謝される。
CYP450に依存しないため、抗HIV薬との相互作用を持たない。

■ペメトレキセド
腎代謝を受ける。NNRTIやPIとの相互作用はないが、NRTIの中でもテノホビルのような腎毒性がある薬剤、ジドブジンのような血液毒性のある薬剤、ST合剤の併用の際には注意が必要である。HIV患者で重篤な副作用の報告はないが、今後使用が増えることが予測され、調査が必要である。

■ベバシズマブ
抗HIV薬との相互作用はないと考える。

■エルロチニブとゲフィチニブ
両者ともCYP450(特にCYP3A4,CYP3A5,CYP1A2)により代謝されるため、NNRTIとPIは影響を受ける。PIとの併用によりエルロチニブの濃度上昇が起こり、皮膚症状や生命にかかわるような間質性肺炎が起こる可能性がある。

■セツキシマブ
CYP450に依存しないため抗HIV薬の相互作用を受けない。

■トポテカンとイリノテカン
トポテカンの代謝はCYP450に依存しないが、HIV患者に使用したデータがない。
イリノテカンはCYP3A4の代謝を受けるため、NNRTIとPIは影響を受ける。カポジ肉腫の患者でLopinavir/ritnavirを使用している患者にイリノテカンを使用した7例の報告がある。イリノテカンのクリアランスは47%減少していた。イリノテカンはUGT1A1を介するグルクロン酸抱合で一部代謝される。ラルテグラビルはこの酵素の誘導も、阻害もしないため、おそらくイリノテカンのクリアランスには影響しないだろう。
 更新日 2011年2月

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肛門癌

 1  
 タイトル Safety and immunogenicity of the quadrivalent human papillomavirus vaccine in HIV-1-infected men.
 著者 Wilkin T, Lee JY, Lensing SY, Stier EA, Goldstone SE, Berry JM, Jay N, Aboulafia D, Cohn DL, Einstein MH, Saah A, Mitsuyasu RT, Palefsky JM.
 所属 Division of Infectious Diseases, Weill Cornell Medical College, Montefiore Medical Center, New York, New York, USA.
 書誌事項 J Infect Dis. 2010 Oct 15;202(8):1246-53.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20812850
 サマリー HIV陽性の男性は肛門癌のリスクが高い
AIDS Malignancy Consortium Protocol 052
4価のHPVワクチン(type 6.11.16.18)の安全性と免疫獲得を評価する
上皮内癌と肛門癌の既往およびスクリーニング陽性例は除外
0.5ml筋注を0.8.24週
主要エンドポイントは28週での各株に対する抗体陽転率とgrade 3以上のワクチン関連副作用。
結果:109人のうちGrade3以上の副作用が出たものはいない。
抗体陽転は4typeすべてで見られた:type 6 59/60,type 11 67/68,type 16 62/62
Type 18 74/78
CD4,VL に悪影響はなかった
 更新日 2010年11月
 2  
 タイトル Concurrent chemoradiotherapy with 5-fluorouracil and mitomycin C for anal carcinoma: are there differences between HIV-positive and HIV-negative patients
in the era of highly active antiretroviral therapy?
 著者 Fraunholz I, Rabeneck D, Gerstein J, Jäck K, Haberl A, Weiss C, Rödel C.
 書誌事項 Radiother Oncol. 2011 Jan;98(1):99-104.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21168927
 サマリー ・HIV陽性、陰性の肛門癌患者に放射線化学療法を行い、効果と副作用を検討した。
・25人のHIV陽性患者、45人のHIV陰性患者の比較
・HIV陽性患者群の年齢は若いが、PS、Stageは差なし。
・治療前のCD4数は347.5(62-930)
・放射線治療は50.4Gy(50.4-60.4Gy)
・鼠径部への照射はT1N0であった3人以外は50.4Gy(45-60Gy)照射
・23人(33%)に対して、原発巣または腫大リンパ節に対し追加の照射を行っている。
・化学療法は5-FU(1000mg/m2/day)day 1-4,29-32+MMC(10mg/m2)はそれぞれのサイクルのday1に静注

結果
・6-8週時点のCRはHIV陽性21/25(84%),HIV陰性 42/45(93%)
・再発なく経過した率はHIV陽性 17/25(68%),HIV陰性37/45(82%)
・6-8週後に再発した例がHIV陽性で3例、HIV陰性で5例おり、うち2/3,5/5に手術を行った。
・最終的に肛門癌で死亡したのはHIV陽性例で5/25(20%)、HIV陰性で3/44(7%)。
・5年間のLocal control rateはHIV陽性例65%(95%CI 42-88),HIV陰性例78%(64-92)
・5年間のMetastasis-free survivalはHIV陽性 86%(71-101),HIV陰性91%(81-101)
・5年生存率は71% と77%.
・Grade3/4の血液毒性はHIV陽性 24%,HIV陰性 25%
・Grade4の好中球減少を認めたのはHIV陰性で2例
・放射線治療の中断が3日間以上必要となった例はHIV陽性で8%,HIV陰性で11%
・5FU/MMCがfull-doseで入れられたのはHIV陽性で72%、HIV陰性で91%(p=0.04)
・HIV陽性の4人で2コース目が血液毒性や感染のために入れるのが遅れている。3人は2コース目のドーズを減らして投与されている。
・HIV陰性では4人にドーズを減らして投与している。

Discussion
放射線化学療法の成績、副作用を見るとHIV陽性者と陰性者で大きな差はない。
 更新日 2011年4月

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非AIDS関連悪性腫瘍

 1  
 タイトル Factors associated with specific causes of death amongst HIV-positive individuals in the D:A:D Study.
 著者 Data Collection on Adverse Events of Anti-HIV drugs (D:A:D) Study Group, Smith C.
 書誌事項 AIDS. 2010 Jun 19;24(10):1537-48.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20453631
 サマリー ・HAART導入後の時代の死亡原因を調べた
・死亡原因で多いのは AIDS(n=743;rate/1000 PY=4.12)

           肝疾患(341; 1.89)

           心血管関連(289;1.60)

           非AIDS関連悪性腫瘍(286;1.59)

・全体の死亡率は1999/2000年の16.9(/1000PY)から2007/2008年の9.6と大きく減少
・喫煙は心血管関連と非AIDS関連悪性腫瘍の死亡率と関連している
・HBV/HCV共感染は肝臓関連の死亡率と関連している
・高血圧は肝臓関連と心血管関連の死亡率と関連している
・糖尿病は非AIDS関連悪性腫瘍以外のすべての死亡原因に関連している
・CD4低値はすべての死亡原因のリスク因子となる
 更新日 2011年2月
 2  
 タイトル Changing patterns of cancer incidence in the early- and late-HAART periods: the Swiss HIV Cohort Study.
 著者 Franceschi S, Lise M, Clifford GM, Rickenbach M, Levi F, Maspoli M, Bouchardy C, Dehler S, Jundt G, Ess S, Bordoni A, Konzelmann I, Frick H, Dal Maso L, Elzi L, Furrer H, Calmy A, Cavassini M, Ledergerber B, Keiser O; Swiss HIV Cohort Study.
 所属 International Agency for Research on Cancer, 150 cours Albert Thomas, 69372 Lyon cedex 08, France.
 書誌事項 Br J Cancer. 2010 Jul 27;103(3):416-22.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20588274
 サマリー Swiss HIV Cohort Studyと9つの州の癌登録簿を使用した。
9429人のHIV陽性者を、pre HAART(1985-1996), early HAART(1997-2001), late HAART(2002-2006) の時代に分け person-years を算出したところ、20615, 17690, 15410 PY。
悪性腫瘍の発生率(IR)をgeneral populationと比較。
カポジ肉腫と非ホジキンリンパ腫はpre HAART とearly HAARTで数倍減少。
early/preはカポジ肉腫0.1, 非ホジキンリンパ腫 0.3
earlyとlateを比較しても減少 late/early カポジ肉腫 0.3, 非ホジキンリンパ腫  0.4
肛門癌、肝臓癌、非メラノーマ性皮膚癌、ホジキンリンパ腫は pre とearlyの比較で増加
Early/preは 肛門癌 5.2,肝臓癌 2.7, 非メラノーマ性皮膚癌 2.4, ホジキンリンパ腫 1.4
Earlyとlateの比較では増加なし
非AIDS関連悪性腫瘍全体を見ると、general populationと比べ発症率は2倍
 更新日 2011年2月

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悪性リンパ腫

 2  
 タイトル High-dose zidovudine plus valganciclovir for Kaposi sarcoma herpesvirus-associated multicentric Castleman disease: a pilot study of virus-activated cytotoxic therapy
 著者 Uldrick TS, Polizzotto MN, Aleman K, O'Mahony D, Wyvill KM, Wang V, Marshall V, Pittaluga S, Steinberg SM, Tosato G, Whitby D, Little RF, Yarchoan R.
 書誌事項 Blood. 2011 Apr 12. [Epub ahead of print]
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21487108
 サマリー HHV8関連のキャッスルマン病に対し標準治療が定まっていない。
14人の患者に対するpilot study
AZT600mgを6時間毎 +Valganciclovir 900mg 12時間毎
内服できない場合はAZT 300mg 6時間毎+ガンシクロビル 5mg/kg 12時間毎
7日間投与を行い14日間休薬するのが1サイクルであるが、施行する医師の判断で21日間まで投与を延長。治療期間は臨床症状の改善がみられた後に数コース追加して終了。
病勢悪化および投与量調節でコントロールできない副作用がみられた場合には中止。
86%の患者に臨床効果を認め、50%の患者に生化学的効果を認めた。
Median Progression-free survivalは6か月。
12か月の時点で生存率は86%。
 更新日 2011年5月

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その他

 1  
 タイトル Screening HIV-infected patients for non-AIDS-defining malignancies.
 著者 Phillips AA, Justman JE.
 所属 Department of Medicine, Harlem Hospital Center, Columbia University College of Physicians and Surgeons, 506 Lenox Avenue, MLK Building 13-101, New York, NY 10037, USA.
 書誌事項 Curr HIV/AIDS Rep. 2009 May;6(2):83-92.
 Pubmed link http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19358779
 サマリー HIV感染者における悪性腫瘍のスクリーニングのreview

肛門癌:
MSM+AIDSでは肛門癌のリスクが10-50倍。
HIV/AIDSの女性では7-28倍。
DHHSガイドラインではHIV陽性者には直腸診を勧めている。
PaPテストは子宮頸部のPaPテストに似て簡便である。感度は50-80%。
MSMでは2-3年ごとの検査が費用効果的に勧められる。

乳癌:非感染者に準じていいだろう。
(非感染者では40歳以上の女性に1-2年ごとのマンモグラフィーが勧められている。)

子宮頸癌:
1997年にCDCはHIV陽性の女性に対し、6か月あけた2回のPap テストを行い、正常であれば通常通り(非感染者では3年ごと)のスクリーニングを行うように推奨。

結腸直腸癌:非感染者に準じてよいだろう。

肝細胞癌:
米国ではHIV感染者の30%がHCVも感染している。
超音波とAFP測定を6-12か月ごと。

肺癌:非感染者に比べ若年で発病し、進行期であることが知られている。
非感染者と異なるスクリーニングが必要であるというエビデンスはない。
 更新日 2010年11月

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